ノックアウトオプションには様々なメリットがありますが、おそらく多くの方が求めるのは資金効率のはず。レバレッジ25倍のFX個人口座を大きく上回る資金効率だからこそ、ノックアウトオプションは圧倒的な人気を誇ります。
この記事では、ノックアウトオプションの資金効率が良い理由と、資金効率の良さを生かしたトレード手法などについて、じっくり解説していきます。
FXとノックアウトオプションの資金効率差はどれくらい?
ノックアウトオプションは損切り価格で必要資金が変動
ノックアウトレベル (損切り価格) |
FX(レバレッジ25倍) | ノックアウトオプション | |
109円90銭 | 必要な資金 | 44,000円 | 1,000円 |
損失額 | 1,000円 | 1,000円 | |
109円50銭 | 必要な資金 | 44,000円 | 5,000円 |
損失額 | 5,000円 | 5,000円 | |
109円00銭 | 必要な資金 | 44,000円 | 10,000円 |
損失額 | 10,000円 | 10,000円 |
この表は国内FXで一番人気の通貨ペア、ドル円が110円のときに1万通貨取引をしたら必要になる資金です(ノックアウトレベル到達時の手数料は含まず)。
ノックアウトオプションはノックアウトレベル(損切りになったときに必要な価格)に応じて必要な資金が変化します。
ノックアウトオプションはFXの40倍以上の資金効率
それに対してFXは、いくらで損切りしようと必要な資金は変わりません。
110円00銭で買い、109円90銭で損切りする設定なら、ノックアウトオプションは1000円で1万通貨を保有できますが、ドル円なら44000円の証拠金が必要になります。
これはつまり、ノックアウトオプションはFXの44倍の資金効率であるといえます。
なぜノックアウトオプションの資金効率が良いのか
同じ外国為替という商品を対象にしながら、なぜここまで資金効率に差があるのか。もちろんそれは、FXとノックアウトオプションがまったく違う商品だからです。
FXは保有ポジション価格の25分の1の資金が必要
FXは証拠金取引という仕組みを採用しています。これは実際にドルや円を取引することなく、売買することによって生じた結果のみを、証拠金(投資資金)に対して増減します。
そして最大25倍のレバレッジがかけられます。これは本来必要になる資金の25分の1の資金があれば、その取引ができるということ。
上の例でいえば、ドル円が110円のときに1万通貨を取引しようとすると、本来なら110円×1万=110万円が必要になります。これではあまりに資金効率が悪いため、110万円の25分の1である44000円があれば、ドル円の1万通貨を保有して良いですよ、というのがFXにおけるレバレッジ25倍の意味となります。
ノックアウトオプションは損切りになったときの負け額が必要
ノックアウトオプションは、オプション取引と呼ばれるタイプの金融商品です。FXとはまったく設計が違い、あるポジションを持つために必要になるのは、事前に決めるノックアウトレベル到達時の損失額です。
ノックアウトレベル到達=損切りで、これをポジションを保有するときに必ず決定します。先ほどの例でいえば、ドル円が110円00銭のときに1万通貨を買い(ブル)、109円90銭で損切り(ノックアウトレベル)される場合、0.1円×1万通貨=1000円となります。
ノックアウトオプションでは、この1000円の資金があれば、最悪1000円分の損失になるポジションを保有することができます。
損切り幅が狭いほど資金効率に差が出る
このように根本的に仕組みが違うため、同じドル円の1万通貨保有という投資でも、ケタ違いに資金効率に差がつきます。
ただし、ノックアウトオプションの資金効率は、損切り幅が狭いほど良くなります。そして、損切り幅が広いほど、FXに近づいていきます。
ノックアウトオプションの資金効率を生かす手法はスキャル、デイトレ
ノックアウトオプションと相性が良いのは、ずばりスキャルピングやデイトレードといった短期トレードです。その理由を見ていきましょう。
資金効率が良いから
トレードにおいて、ポジション保有時間が短いほど、勝つ値幅、負ける値幅は狭くなります。分単位で決済するスキャルピングで1000pips勝つことはありませんし、1000pips負けることもありません。
損失の幅が狭いということは、1回の負けが小さいということですから、その分だけトレードの枚数を増やすべきです。
またトレードの時間軸が短くなるほどポジション保有時間も短くなりますから、トレードの回転効率がアップします。そのため、一度のトレードに大きな枚数を入れても、すぐに決済されるため資金を長期に渡って拘束することはありません。
もちろんノックアウトオプションでスイングトレードをしてはいけないわけではないですが、スキャルピングやデイトレードとの相性が良いといえます。
新規エントリーが成行のみ
ノックアウトオプションの唯一のデメリットが、新規エントリー時に指値、逆指値を使えず、成行でエントリーしないといけない点です。
成行でのエントリーは、パソコンやスマホなどで相場を見ていないといけませんから、その場の判断でエントリー、決裁をする短期トレードに向いています。
ポジション保有期限が1年間
ノックアウトオプションのポジション最大保有期限はエントリーから1年間です。
スキャルピングやデイトレードには関係ありませんが、年単位で勝負するポジショントレードには向かないでしょう。
資金効率が良いだけでは勝てない!しっかりとした検証が必須
ここまでノックアウトオプションが資金効率がズバ抜けて良いことを解説してきましたが、資金効率が良いからといって、トレードにおいて有利になるわけではないことを忘れないでください。
資金効率の良さは勝ち組と負け組をはっきりさせるだけ
FXでも同じなのですが、少ない資金でたくさんポジションを持てると、上手な人はすぐに資金を増やしますし、下手な人はすぐに資金を失います。つまり、トレード結果をより素早く、はっきりと反映させる仕組みに過ぎません。
資金効率の良さだけで一発逆転を狙うのは、単なるギャンブルです。そういった一か八かのトレードをしていると、勝ってお金が増えたときいはいいのですが、負けたときにはお金を失うだけでなく、未来に生かせる投資経験を得られません。
1ロットあたりの勝ち額、負け額は変わらない
また、資金効率に関係なく、1万通貨取引で100pipsの値幅を獲得したときの利益は1万円です。資金効率が良いからといって、この金額が上がるわけではありません。
ノックアウトオプションやFXにおける資金効率とは、同じ資金で保有できるポジション量が多いというだけのことです。
勘違いしがちですが、資金効率の良さはトレード結果そのものを有利にするわけではないのです。
【参考】主要な投資商品のレバレッジ
FX(個人口座) | 25倍 |
FX(法人口座) | 50~100倍(通貨ペアにより異なる) |
CFD(株価指数) | 10倍 |
CFD(商品) | 20倍 |
先物(日経平均先物ミニ) | 約20倍 |
ノックアウトオプション | レバレッジという仕組みではないが、FXに対して数十倍の資金効率を実現できる |
国内株式現物 | 1倍 |
国内株式信用取引 | 3倍 |