ノックアウトオプションをトレードするとき、指値や逆指値の考え方がやや複雑で、ここでつまづいてしまう方もいるかもしれません。この記事では、利益確定の指値、損切りの逆指値、最終撤退価格のノックアウトレベルについて、それぞれの違いをIG証券の画面を例に解説します。
指値と逆指値とは?
シンプルに利食いと損切りで覚える
ノックアウトオプションの場合、指値=利益確定、逆指値=損切りと覚えてOKです。
本来、指値は、「自分にとって有利な価格」、逆指値は「自分にとって不利な価格」での価格指定する予約注文で、どういう注文になるかは、新規か決済かで変わります。
しかし今の時点でノックアウトオプションには新規の指値や逆指値はなく決済時のみなので、利食い&損切りという認識でまったく問題ありません。
ノックアウトオプションの場合、入れなくても良い
指値と逆指値は必ず入れなくてはいけないわけではありません。利食いも損切りも予約せず、手動で決済しても構いません。
また、ノックアウトレベルという最終損切りラインが必ず入った状態でオプション購入(新規エントリー)になるので、損切りは必ず入っているといえます。
指値・逆指値・原資産価格・ノックアウトレベルの位置関係
買い(ブル)を例に、ノックアウトオプションにおける4種類の価格の位置関係はこうなります。
③逆指値は、④ノックアウトレベルより手前(買いの場合は上)、①指値は②原資産価格より上、④ノックアウトレベルは一番下になります。
もちろん売りの場合は全てが上下逆になります。
逆指値とノックアウトレベルの違い
逆指値とノックアウトレベルは、どちらもポジションが損切りされる価格で、到達時の動作は同じです。それぞれの特徴を列記しますので、違いを覚えましょう。
ノックアウトレベル
- 新規エントリー時に必ず決めないといけない最終損切り水準
- ノックアウトレベルとオプション購入価格の差額がその取引の最大リスク=参加費用
- 一度決めたら動かせない
- ノックアウトレベルより手前(浅い位置)に逆指値を置けるので、ノックアウトレベル到達前に浅い傷で逃げることもできる
- ノックアウトレベル到達で、いくばくかの手数料が発生
逆指値
- 到達すると損切りになる
- 注文を入れるときだけでなく、注文を入れたあとでも設定できる
- 取り消せる
- 価格を自由に変更できる
- ノックアウトレベルより深い位置にはできない
指値と逆指値の入れ方(購入前)
IG証券のノックアウトオプションでは、新規購入時と購入後では指値と逆指値の入れ方や数値の入れ方がまったく違います。
新規エントリー時の指値・原資産価格・逆指値・ノックアウトレベル
まずは購入時の画面を解説します。
最初に出した図と照らし合わせてください。オプション購入(新規発注)前の画面はこういう意味となります。チャートの方では、上から順に①指値、②原資産価格、③逆指値、④ノックアウトレベルと並んでいます。
右側の発注画面では、それぞれの配置はこのようになっています。
指値と逆指値の数値の意味
発注前の指値と逆指値は、儲かる値幅=指値、損をする値幅=逆指値となっています。もう一度下の図の、①bと③bを見てください。
③bの逆指値欄には「20」という数字が入っていますが、これは20ポイント(pips)を表します。逆指値なので、20ポイント分負けるところで損切りされます。その価格が10959.9。
さらに小さいですが、③bの下に「9.9/-¥2,000」と書いてあることに注目。この9.9はノックアウトレベルからの距離をポイントで表しています。ノックアウトレベルが10950.0なので、そこから9.9ポイント原資産側の10959.9が逆指値になります。そして、-¥2,000はそのまま2000円負けるという意味です。
同様に①bの20ポイントは2000円勝ちであり、「49.9/¥2,000」の49.9はノックアウトレベルからの値幅です。10950.0のノックアウトレベルに49.9を足した10999.9が指値です。
※よく見ると、原資産価格に+20ポイントした価格が指値に、-20ポイントした価格が逆指値になっていません。指値は2ポイント先に、逆指値は2ポイント手前の価格になっており、これは実質的に2ポイントの手数料が織り込まれていることになります。この部分が、かつてのノックアウトプレミアムという、ノックアウトレベル到達時に発生していた手数料の形が変わったものと思われます。
※この考察は2020年2月中旬時点のものです。ノックアウトオプションのシステムは変更される可能性があります。また、FOREX.comのシステムはIG証券とはまた異なります。
(追記)上の記事で、IG証券のノックアウトプレミアムについて、より踏み込んで解説してます。
指値と逆指値の入れ方(購入後)
新規エントリー(オプション購入)時に、指値や逆指値を入れなくても問題ありません。ノックアウトレベルさえ決まっていれば、購入はできます。
チャートから指値と逆指値を追加
ポジションを持っているものと同じチャート(買いと売りは違います)を開くと、以下のようにすでに持っているポジションが表示されます。
この場合は、1ロットの売り(下落)を持っていて、ノックアウトレベルは11090で、到達時には3,480円の損失です。
また、まだ指値や逆指値が入っていないので、赤く囲んだ部分をドラッグ(引っ張る)ことで、利食いや損切りを設定できます。
このように、してみました。+3,220円になる位置に利食いの指値、-2,060円になる位置に損切りの逆指値を入れてみました。
このようにポジション保有後もチャートから指値や逆指値の設置ができますし、ドラッグで動かすことで価格水準も変更できます。
ポジション保有画面から指値や逆指値の追加
または、ポジション履歴の画面から、後から指値や逆指値を追加することができます。
まだ指値や逆指値を入れていない状態で保有ポジションタブを開くと、上のような画面になります。指値と逆指値が空欄ですね。
またこの画面の数値は、すべてノックアウトレベルからの距離として表されます。例えば約定レートは21.4ですが、これはノックアウトレベルが10950.0なので、これに21.4を足した10971.4ポイント(109円714銭)で新規買いエントリーしたことになります。
最新レートは19.7なので、10950.0+19.7で10969.7(109円697銭)。これはつまりポジション約定レートよりも低いですから、今は少し(1.7ポイント)負けていることになります。一番右の未実現損益も170円のマイナスですよね。
ちょっと大変ですがこのクセのある仕様を覚えましょう。ポジション保有画面の数字は、すべてノックアウトレベルからどれくらい離れているかで表示されます。指値や逆指値も同じです。
空欄をクリック後、現れる下向きの矢印をクリックします。
するとこの画面になり、逆指値(指値も同様)を数字で決められます。ここでのポイントも、保有ポジションタブからの入力は、ノックアウトレベルからの距離である点です。オプション購入時には、小さな字で書いてあったあれです。ポジション保有価格からの値幅や、勝ち負けの値幅ではないので注意が必要です。
そのため、指値も逆指値も、その設定で到達時にいくら勝つ、いくら負けるかが金額表示されます。上の画像の逆指値設定は、到達時に640円のマイナスです。
また、上の画面なら「最大17.5」となっているのが、ノックアウトレベルから離せる距離で、ドル円なら2ポイントです。つまり原資産価格より2ポイントより上に、逆指値(損切り)は入れられないです。また、逆指値の最小値は1です。0だとノックアウトレベルと同じになってしまうからです。
つまり、逆指値は数字が少ないほどノックアウトレベルのすぐ近くの深い損切り、多いほど原資産価格のすぐ近くの浅い損切りになります。このあたりの感覚は、この画面で数値をいじって損益が変化するところを見ながら意味を理解してください。
もちろん指値の考え方も同じで、指値は原資産価格よりも多くなければいけません。数字が少ないほど浅い利確、多いほど理を伸ばす粘った利食いになります。ドル円の場合は、最新レート+1ポイントでなければいけません。また、指値に上限はありません。どれだけ遠く離れていても設定はできます。
指値と逆指値の変更と削除
上の説明を理解していただければ指値と逆指値の変更は簡単です。数字を打ち替えるだけでOK。
また、数字を削除すると、指値や逆指値が解除されます。
・指値が利食い、逆指値が損切りと覚える
・指値と逆指値は入れなくても良い
・逆指値とノックアウトレベルの違いを位置関係で覚える
・ポジションを持つときに指値と逆指値を入れられる
・ポジションを持ってからでもチャートやポジション保有画面から指値や逆指値を追加、変更できる