久しぶりのコラム更新となりますね。今回のテーマは、なぜノックアウトオプションが幅広く国内のFX会社に普及しないのか。もっといろいろなブローカーで扱っていてもいいものですが。
いまだにIG証券とFOREX.comのみの取扱
ノックアウトオプションといえば、非常に高い資金効率と、確実に設定価格での撤退が実行される特性を併せ持つ、攻守に優れた金融商品であることは皆さんもご存知の通り。
そんなに素晴らしい商品なら、もっといろいろなFX口座で取引できたらいいですよね。ですが、2022年9月時点でも、ノックアウトオプションが取引できる国内FX会社は、IG証券とFOREX.comだけです。
GMOクリック証券やDMM FXや外為どっとコムのような国内大手でもトレードできたら、会社間の競争の結果としてコストも下がるでしょうし、ユーザーにとっては何も悪いことはないですよね。
ですが、ノックアウトオプションが日本で流行りだしたら2019年ごろから、この状態はずっと変わっていません。
TradingViewで直接取引できるFX会社を見てみると
さて、TradingViewという非常に有名でユーザーが多い、チャート分析ソフトがあります。ブラウザで稼働し、FX、株、CFD、仮想通貨といった幅広い銘柄の分析ができるため、愛用している方は多いと思います。
TradingViewは基本的にチャート分析用のソフトで、MT4ほどトレード機能は充実していません。ですが、特定のFX会社はTradingViewのチャート上から注文を出したり、保有しているポジションを決済できます。
上の画像で赤枠で囲んだものは、TradingViewで取引までできる日本のFX会社。OANDA、FOREX.com、Saxoが対応しているのですが、これらはどれも外資系のFX会社です。海外に本部があり、金融庁に登録された日本法人が日本国内で活動しているタイプです。
つまり、外資系しかTradingViewでのトレードは認められていない、ともいえます。例えばみんなのFX(トレイダーズ証券)は、TradingViewが取引システムに組み込まれていてチャート分析はできますが、取引はできない仕組みになっています。
金融庁の謎の古さ、過保護さ
なぜこういった状況なのか。そこにあるのは、金融庁の極端に古く、過保護な体質です。
TradingViewは海外のシステムなのですが、「そのシステムは本当に大丈夫なのか?何かあったら責任が取れるのか?」というように、国内FX会社の担当者は、金融庁に圧力をかけられていると聞いたことがあります。
顧客が自分の意志で証券会社を選び、取引をするわけですから、何が起きても自己責任でいいだろ、と私は思ってしまいますが、金融庁は良くも悪くも個人投資家を信用していないんですよね。これはレバレッジ規制のときにも同じ事を思いました。
国内のFX会社が自分で開発し、自分でシステム管理をするのは許されても、海外のシステムを使うことはなかなか認めようとしないんですね。
ただ、外資系のFX会社は、なにかあったら本社の責任だし、本社側ですでに運用の実績があればOKという判断になると思われることから、TradingViewでの取引やノックアウトオプションは外資系のみ認められているのが現状です。