こんにちは。ゆったり為替です。「ノックアウトオプション研究所で執筆をしないか?」と声をかけていただき、参戦させていただくことになりました。
ゆったり為替の手法の特徴は、以下の通りです。
- インジケータを使わない
- 月足が最も好き
難しいのは性に合いません。ひたすら単純さを追い求めました。上の枠のようになったのは、その結果です。
なお、この記事を執筆している時点(2020年3月)では、コロナウイルス問題で相場が荒れ放題です。しかし、月足で見ると、下値支持線や上値抵抗線が機能している様子がわかります。
そこで、今回のトレードは、米ドル/スイスフラン(主に月足)で考えていきます。
米ドル/スイスフラン(USD/CHF)の月足チャート
下は、米ドル/スイスフランの月足チャートです(IG証券から引用)。
このままでは話を進めづらいので、下に数字と線を追加しました。下の通りです。
数字1で、やたらと長い下ヒゲがあります。2015年1月15日のスイスショックです。この値動きで、複数のFX業者が経営破綻に追い込まれました。
その後の値動きを見ますと、赤線2の部分を底値にして、延々とレンジが続いている様子が分かります。
レンジの範囲は、0.9200~1.0200くらい(1,000pips級)という、巨大な範囲です。というわけで、赤線の位置のレートは0.9200前後です。
この値動きを狙って、ノックアウトオプションを使ってみましょう。
トレード手法
ゆったり為替のトレード手法は、極めて簡単です。文字化すると、以下の通りになります。
米ドル/スイスフランが0.9200付近になったら、買う。
あまりに簡単なので、返って良く分からないかもしれません。もう少し詳しく見てみましょう。下は、週足チャートです。
右端(2020年3月)で、0.9200で買っていれば、大成功でした。この0.9200という数字は適当でなく、月足チャートで見た場合の下値支持線付近です。
ちなみに、この0.9200という数字ですが、2020年3月のチャートを見てから書いているわけではありません。
ゆったり為替のブログ「FXゆったりトレード派」にて、米ドル/スイスフランのトレード例をご案内しています。記事公開は、2019年12月です。
その際に、最も安い買い注文の為替レートを、0.9180としてご案内しています。この数字を出せるのは、月足チャートで考えていたからです。
相場が大波乱になるときには、月足分析が特に効果を発揮します。
取引で工夫を加える
0.9200付近になったら買えば良いと言っても、2020年3月は、新型コロナウイルス問題で一気に暴落した相場です。
0.9200が実現してから単純に買った場合、そのまま下落を続けて簡単にロスカットになってしまうかもしれません(現実は、期待通り反発したわけですが)。
そこで、安全度を高めるために、以下の工夫をしても良いでしょう。
- 米ドル/スイスフランが0.9200付近になったら、買う。
- ただし、大きく下落した後に上昇していることを確認して、買う。
こうすると、下落中に買うわけでなく、上昇の勢いを確認してからのトレードになります。単純に0.9200になったら買う場合に比べて、安全度が高くなるでしょう。
注意点
なお、このトレード手法には、注意点があります。FXとノックアウトオプションの違いも考慮しつつ、解説します。
スプレッドの開き
相場が荒れると、スプレッドが大きく開きます。米ドル円の場合、通常時のスプレッドは0.2銭が多いです。しかし、本当に荒れる場合は、1銭を超えてくる場合もあります。
米ドル/スイスフランは、米ドルとスイスフランの組み合わせですから、先進国通貨ペアです。しかし、流動性という点では、米ドル円に遠く及びません。
よって、比較的大きめのスプレッドの開きは、許容するしかないでしょう。
とはいえ、期待できる利幅は何百pipsという巨大さです。よって、スプレッドが開いても、無視して取引可能です。
(とはいえ、数十pipsを余裕で超えてくる場合は、取引は心情的に難しいでしょう。)
巨大なスリッページ
スプレッドの開きよりも厄介かもしれないのは、スリッページです。スプレッドが開く場合、どの程度まで開いているのか、取引画面で分かります。
あまりにスプレッドが広いと思えば、取引を見送ることができます。
しかし、スリッページは違います。取引が完了してから、スリッページがあったことに気付きます。これは、精神的にも痛いです。
また、ロスカット注文を出していて、米ドル/スイスフラン=0.9150にしていたとしましょう。しかし、実際に約定したレートを見ると、0.9140だった(10pipsもマイナスが増えた)というのは、ありうる話です。
通常は、あり得ません。しかし、相場が大波乱の時には、10pips程度のスリッページはありうるという覚悟が必要です。
この記事の上部でご案内しましたスイスショックの時には、FX業者によっては1,000pips級のスリッページが発生した模様です。
1,000pips級はあまりにひどい話ですが、損切り注文が期待通りに実行できないリスクを考える必要があります。
対策:ノックアウトオプション
ちなみに、上のリスクのうち、スプレッドの開きへの対策は、何もありません。どうしようもないので、受け入れるだけです。
その一方で、スリッページへの対策は、1つあります。ノックアウトオプションを使うことです。ノックアウトオプションには、独特のルールがあります。「ノックアウトレベル」です。
ノックアウトレベルとは、「この為替レートが実現したら、何が何でも損切りしますよ!」という為替レートを指します。
損切りの逆指値注文と何が違うか?ですが、2つの違いがあります。
1つめ。ノックアウトレベルは、ポジションを持ってから変更できません。そして2つ目。圧倒的に異なる点があります。それは、「絶対にスリッページしない」という点です。
どんなに相場が荒れようとも、他社で1,000pips級のスリッページが発生しようとも、ノックアウトオプションは絶対にスリッページしません。なぜなら、そういうルールだからです。
今回、米ドル/スイスフランが0.9200付近になったら買う、というトレード手法をご案内しました。
過去の事例を見ますと、0.9200付近が実現する時には、相場は荒れていることが多いです。この状況ですと、FXで取引するのは怖いです。
ノックアウトオプションなら、スリッページの恐怖を軽減できます。すなわち、成功に近づきやすいでしょう。