ノックアウトオプションは非常に資金効率に優れた商品ですが、間違ったトレードをすればお金を失うことは他の投資と何ら変わりありません。
この記事では、ノックアウトオプションでよくある失敗パターンを矢継ぎ早に並べていきます。
優位性のあるルールを確立できていない
ノックアウトオプションに限らず、FXだろうと、株だろうと、仮想通貨だろうと、その商品の市場で人間同士がお金を奪い合い合うことには変わりありません。投資は対戦ゲームです。
ですから、相手の裏をかいたり、相手が繰り出してくる攻撃を回避したり、相手が隙を見せたら一気にたたみかけるような技術と精神が必要です。
これらはつまり現状を分析する環境認識と、現状に合わせたトレード手法を選択する判断力、美味しくない場面を平然と見送るスルー力、いさぎよく負けを認める損切り力などが問われます。
すごく簡単にいうと、下手な人は何をやっても勝てません。FXだろうと、ノックアウトオプションだろうと。
さらに、ノックアウトオプションは資金効率が良い=少ない資金で多く張れるわけですから、下手だとものすごいスピードでお金が減ります。
いわゆるハイレバに意味があるのは、お金を増やせる人だけの話。増やせない人は、低レバ商品商品より、ハイレバ商品の方が早く死にます。対人戦で勝てるトレード手法を身に付けることが先決。
「このやり方ならいける」と確信が持てないうちは、デモトレードか、せいぜいFOREX.comの1000通貨で取引してください。
ノックアウトレベルが深いのに利食いが浅い
いわゆる利小損大、あるいはコツコツドカンです。
人間の本能は、意識しないかぎり投資で負けるようにできています。
例えばすでに利益が出ているとき、この利益が減ることが怖くなり、浅く利食いしたい欲望がむくむくと出てきます。こういった経験がある方も多いのでは?
例えばすでに含み損がすごいとき、負けを認めたくなくて損切りを引き延ばしたことがありませんか?誰でも一度はあるはず。
このように、勝つときは少し、負けるときは全力というトレードになりがちで、それが続くと勝率はそこそこ高い、なんか勝ってる気はする、でもお金は減っている状態ができあがります。
ノックアウトオプションでは、ノックアウトレベル(最終損切りライン)が決まっていなければトレードはできませんから、無制限に損切りを我慢することはできませんが、それでもノックアウトレベルまで100pipsなのに、利食いが3pipsというトレードをしていれば、その口座はいずれ大損をすることになります。
利は伸ばす、損は縮める、これが鉄則。ノックアウトレベルを深く設定するなら、その手前の浅い位置に逆指値を置く習慣をつけましょう。
常にトレードがしたいポジポジ病
これも誰もが通る道です。僕も通りました(今もそうかも)。
トレード自体はワクワクするものですし、意欲的に相場に向かうほど、いろいろな局面が稼げるチャンスに見える気がするかもしれません。
でもそれは、トレードで稼ぐことがすでに目的になっておらず、「トレードをすること」そのものが目的になっています。あるいはトレードで楽しむことが、いつの間にか目的にすり替わっています。
トレードとは、滅多に訪れない優位性があるタイミングでのみ参入し、限定的な利益を相場からいただくものです。
いついかなるときもチャンスであるほどトレードは簡単ではないはず。自分がポジポジ病の人は、エントリー回数をかなり厳選できるはずですよ。
トレード回数が多すぎる
トレードをするごとに、スプレッドという手数料を払っていることを意識しないとやばいです。
FXでも同じですが、エントリーした瞬間って必ずマイナスからスタートしてません?あれって、スプレッド分遠くから取引が始まっていることを意味しています。だからそのトレードで勝つためには、まずスプレッド分のマイナスを埋め、さらにそこから利益を伸ばさないといけません。
個別に払っているわけじゃなく、取引価格と一体化しているから意識しにくいですが、僕らはトレードをするたびにスプレッドという手数料を支払っているわけです。
さらにIG証券の場合、ノックアウトプレミアムがこれに乗ってきます。
つまりトレード回数が増えるほど損をするのが、FXやノックアウトオプションの実態であるわけです。それなら余計なトレードは減らすべきですよね。
ポジポジ病とも密接に関連してきますが、下手な人ほど無駄なトレードが多い傾向ははっきりあるといいます。
エントリーするときに、「そのトレード本当に必要?」と自問するようにしてください。
この記事で、スプレッドの影響を詳しく解説しています。
根拠がない飛び乗り自殺
経済指標などでものすごい勢いで値動きしていると、あたかも千載一遇のチャンスに見えてしまいます。
でも、それはほとんど錯覚です。千載とは1000年のことなのですが、目の前にたまたま現れたその値動きが、1000年に1回のチャンス、つまり橋本環奈ちゃんである確率はとてつもなく低いのでは?
動いた、チャンス、追いかけろというトレードで勝つことはもちろんあるのですが、それ以上に頂点で買ったり、底で売る「クソポジ」につながることが多い気がします。それはつまり、すでに参入していて十分に稼いだ人の利食いに利用されて、自分は負けることを意味します。
急変動はたしかに稼ぐチャンスなんですが、それが始まる前、あるいは始まってすぐに、すでにポジションを持っていることが理想です。後乗りは難しいです。
極端にスプレッドが広がる時間帯にトレードをしている
常にスプレッドを見ながらトレードをしましょう。
すでに解説したように、スプレッドはトレード成績を下げる取引コストです。
この記事では、有名どころの通貨ペアについて、IG証券とFOREX.comのスプレッドを載せています。
通貨ペア名 | IG証券 | FOREX.com |
ドル円(USD/JPY) | 0.6pips | 0.9pips |
豪ドル円(AUD/JPY) | 1.3pips | 1.6pips |
ポンド円(GPB/JPY) | 2.0pips | 2.5pips |
ユーロドル(EUR/USD) | 0.6pips | 0.9pips |
ユーロ円(EUR/JPY) | 1.1pips | 1.4pips |
ドル円ならIG証券が0.6pips、FOREX.comなら0.9pipsということになるんですが、これはあくまで基本値です。相場の動きが極端に大きくなったり、あるいは極端に動いていなければ、その分だけスプレッドは広くなります。
例えば米国の雇用統計の発表の瞬間、あるいはNYクローズ直前(日本時間明け方)の値動きがほとんどない時間帯などは、当然上記スプレッドよりずっと広いレートでのトレードになります。
これはつまりそういった時間帯は、それだけ取引コストが高いということ。そういった不利な時間帯でばかりトレードをしていると、悪くない手法を使っていても成績は良くない…というケースになるかも。
日本時間朝9時のスプレッドを見てみよう
これは実際に自分がトレードをしていて気付いたことです。FOREX.comのノックアウトオプションで、朝の9時にエントリーする手法を運用しているのですが、9時より前は上記の基本スプレッドより広いです。
で、朝の9時になって数秒後に上記の基本スプレッドに戻ります。ですので、私はいつも9時ジャストで入らず、数秒後にエントリーするようにしています。ただこれだけで数pips、1万通貨なら数百円の節約になります。
この傾向は2020年5月に見られたものなので、時期が違ったり、相場が荒れればまた変わるかもしれませんが、エントリーするときにスプレッドが開きすぎていないかの注意は必要です。
人の意見を聞きすぎて、自分の相場観がない
Twitterを見ても、ブログを読んでも、仲間とFX談義をしても、みんなそれぞれ自分の相場観を語ります。
これらは全て正しく、全て間違っています。
結局のところ、狙っている時間軸、求める利益、受け入れられる損失、分析手法、健康状態と体力、生活スタイル、利益目標達成までのガチ度によって、どう相場を解釈し、どうトレードをするかは圧倒的に変わってきます。この部分がかみ合っていなければ、どれだけスゴ腕のプロトレーダーでも、予想や相場観には何の意味もないことになります。でも、その人にとっては正しいものです。
というか、他人の手法の予想や相場観は、多くの場合無意味どころか有害です。ある程度以上ロジックが似ていなければ、到底理解できるものでもなく、ちゃんと聞くと混乱します。
これが、FXなどの懇親会で、いまいち参加者同士の話がかみ合わない理由だと思います。同じ先生の手法を習っていたり、ボリンジャーバンド研究会のように、特定のテクニカルがテーマならある程度はかみ合うと思いますが、ランダムに集まったトレーダー同士の話がかみ合うわけがないのです。
つまるところ、人の話を聞き過ぎてはいけません。友達付き合い、恋人や夫婦間、会社などでは人の話を聞けるスキルは重要です。でも、トレードにおいては、ほとんどの他人の話は無意味ですし、聞き入りすぎるデメリットすらあります。
他人の相場観は参考以下にとどめ、自分のロジックでトレードの方針を決めましょう。
値ごろ感で売買している
「値ごろ感」という単語は、本来はそれほどネガティブな意味を持ちません。ですが、相場においては、「根拠のない、自分勝手なお買い得感」という意味合いが強くなり、けっこうネガティブです。
「これだけ上がったんだから、もう下がるだろう」
まさにこれです。
たしかに上がったものは下がります。ただ、「これだけ」の基準が必要です。●●年の高値まで上がってレジスタンスになったみたいな、客観的な判断材料がないと、自分の都合100%になって、相場から取り残されることになります。
しっかりチャートを見ていない
上の値ごろ感にも通じる部分です。しっかりチャートを見て売買していないと、決して成功することはないでしょうね。
ノックアウトオプションは、ポジション保有期限がある以上、短期的な値幅を狙う資産運用になります。
トレードする時間軸が短くなるほど、あるいはポジション保有時間が短くなるほど、ファンダメンタルズ分析の重要度が下がり、テクニカル分析の重要度が上がります。これは相場の定石です。
ですので、ノックアウトオプションは精密なチャート分析がなければ攻略できない投資商品といえます。